「な、何ですかこの着物は!?」
「あれ?滝知らないの?これは今巷で流行っているめいど服なんだぞ~」
滝夜叉丸の訝しげな眼差しに、小平太はにんまりと笑って答えた。
「それで・・・これを着ろと言われるのですか?」
「勿論!その為に用意してもらったんじゃないか、仙蔵に。」
「た、立花先輩がですか!?」
「うん、仙蔵のはもっと丈が長いんだけどな。」
「立花先輩もこれを着られるのですか!?」
目を丸めて驚く滝夜叉丸の肩を掴み、大きく頷く。
「サラスト一位の仙蔵が着るんだぞ!お前負けても良いのか?」
一体何に?
と思わないでもなかったが、負けず嫌いの滝夜叉丸は思わず首を振った。
「そうだろ!だったらこれを着て、髪を斉藤に結ってもらうんだ!」
「ええ!タカ丸さんまで引っ張り出すのですか!」
「当たり前だ!お前は完璧を求めないのか!」
「か、完璧!勿論完璧を求めるに決まってます!」
「「「策にはまってますよ、先輩。」」」
げんなりとした顔でため息をついた、体育委員会の後輩たち。
見事に滝夜叉丸をコントロールする小平太に呆れながら、薪を囲む。
「僕達は空気ですか?」
「気にするな四郎兵衛、寧ろ空気になれるほうがいい事を知れ。」
「次屋先輩!空気は逃げられますが僕達は逃げられません!」
「逃げようと思うな、受け入れろ。」
三之助の悟りを開いた三白眼を見上げ、四郎兵衛と金吾はもう一度ため息をついた。
その時。
「滝!可愛いぞ!!!!」
小平太の声に、三人は・・・・
(((結局着たのかよ!!!)))
と、無言のつこっみを入れながら振り返る。
すると、そこには。
もじもじした滝夜叉丸の姿。
その愛らしさに、思わず口が半開きの三之助と金吾。
そして今にも飛び掛りそうな程うずうずした小平太。
周りの反応から一歩遅れて、ぽやっとした顔で呆ける四郎兵衛。
三者三様の反応に、さらに恥ずかしそうに縮こまる滝夜叉丸。
妙な空気が場を包んでいた。
この記事にトラックバックする