思いを抱くのは簡単だが、それを認める事は意外と難しい。
そんな大人びた事を考え始めたのは、3年の終わり。
七松先輩の卒業前実戦が増え始めた頃だ。
先輩の卒業が現実味を帯びてきた時、俺の目の前にいつも居た背中が初めて震えた。
それに気づいた時、俺は自覚してしまったのだ。
滝夜叉丸に惚れていると。
何故こんな奴を?
自問自答を繰り返しても、答えなど出ない。
いつの間にか目で追っていた。
時折見せる寂しそうな表情と、切ない眼差し。
それが全て、七松先輩に向かっていた。
当たり前だ、二人はそう言う仲だったから。
離れ離れになる事が、辛くて寂しいと思うのは当然だ。
だが、それが。
堪らなく苛立った。
強引に肩を掴み、先輩の影を消したい。
奪いたい、独占したい。
そんな感情が渦巻いた。
「離せ!三之助!」
「嫌です。」
抵抗など、全て奪った。
今や体格では滝夜叉丸を追い抜いた。
力では負ける気はしない。
まあ、知能戦では負けてしまうのは否めない事実。
「いやだ!」
「嘘つき・・・・本気で抵抗してないですよね・・」
「ちがっ!やぁ・・・っ!」
強引に口付け、柔らかな唇を何度も啄ばむ。
甘い媚薬のような唇、いつもいつも余裕など奪われてしまう。
熱い口内を犯し、滑らかな舌をきつく吸い上げた。
くぐもった嬌声と溢れた涙。
赤く染まった目元と、上気した頬。
抵抗していると言う癖に、その手は俺の上着をきつく握り締めている。
腰を擦り付ければ、明らかに欲情していた。
「口付けだけでこんなにして・・・イヤラシイっすね。」
「やぁ・・・・ん!」
「腰揺れてる・・・・俺も立ったよ。」
「さん・・・・三之助・・・・」
「ん?何?」
こうなったら滝夜叉丸は従順だ。
欲望に素直で、淫らな目に変わる。
俺は気付いてるんだ。
滝夜叉丸の気持ちが揺れている事を。
疎遠になってしまった七松先輩の手紙を待ちながら、会えない悲しみで押しつぶされそうで。
そんな隙間に付け込んだ俺に、心揺らいでいる。
七松先輩への想いと、俺への想い。
その狭間で、罪悪感と背徳感に苛まれる姿はゾクゾクするほど綺麗だ。
潤んだ目と、荒い息。
きゅっとしがみ付いてくる寸前まで見せる、苦悩の表情。
「好きだ。滝夜叉丸・・・・あんたが好きだ。」
「三之助・・」
「目を閉じて、今は考えるな。」
そっと目を手で覆ってやる。
もう一度口付け、きつく抱きしめた。
「俺ほどあんたに飢えてる男は居ないぜ?」
「さ、三之助・・・・・・私は・・・」
今は答えは要らない。
「ん!」
俺に倒れてきているあんたの心。
もう少し、もう少しだけ時間をかけよう。
どろどろに甘やかしてやるよ。
そして、俺なしじゃいられないようにしてやる。
2年かけてここまで来たんだ、もうすぐだ。
もうすぐあんたは、俺のものだ。
「愛してるよ滝夜叉丸、身代わりでも良いから俺に頼れよ。」
ひっと涙を堪えた滝夜叉丸。
罪悪感、感じてるんだろう?
あんたが卒業の時、もしあの人が迎えに来たとしても。
きっと迷いが出る。
律儀で真面目なあんたは、俺への罪悪感で迷うんだ。
あんたの罪悪感すら、俺は利用する。
だって俺は、そうまでしても・・・。
「お前が欲しい。」
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こんな次滝良いでしょうか?^^;
次滝好きだな~((*´∀`))
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