いつも同じ道を歩いていると言うのに、毎日ちょっと違う感動がある。
それはきっと、隣を歩くこの人がいるからだ。
後輩の小さい手を握り、少し泥で汚れた顔で笑う。
この笑顔が大好きだ。
夕焼けに染まる、明るい笑顔が。
「先輩、顔が真っ赤に染まってます~」
笑う金吾。
「ん?金吾だって染まってるぞ?」
まだ丸い頬を突き、くすぐったそうに笑う金吾の頭を撫でる大きな手。
ああ、そうだあの手も大好きだ。
無骨で粗野だが、優しくて暖かい。
「滝夜叉丸?」
「あ、はい!」
ぼんやりと目で追っていた手が、伸ばされる。
「どうした?」
荒々しく頭を撫でる手が、じんわりと胸を疼かせた。
「た、滝夜叉丸先輩!!??」
「ちょっと!滝!?」
慌てふためく皆の態度に、はたと気づく。
泣いていた。
ボロボロと溢れ出た涙に、自分自身で驚く。
「え?あれ?」
ぐいっと袖口で拭うと、強い腕がそれを阻まれた。
気付けばその胸に抱きこまれて。
「ちょっと先輩!!!!」
もがいてみても、力強い腕は解けない。
「どうしたんですか!?先輩!」
「痛い所でもあるんですか!!??」
今度は腰辺りにきつい拘束。
金吾と四郎兵衛がしがみついていた。
そして最後に。
「とりあえず・・・・」
ぎゅむ。
背中に張り付いた三之助。
全員に抱きつかれ、抱きしめられ身動きが取れない。
と言うか、暑い・・・・。
「「「「どうした(んですか)!!!」」」」
センチメンタルは、一人の時にしておこう。
ニヤケそうになる顔を必死に顰め、ひっそりと思った。
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