「雑渡さん!」
「なに?伊作君」
また来たよこの人!
この間は・・・・その勢いに任せて・・あれでしたが・・。
でもね!今日はそうは行きませんよ!
「あなたね!いきなりふらっと現れて、いかがわしい事しないで下さい!」
わきわきといかがわしい手つきで、こっちに迫ってくるんじゃない!
あーもう!何なのこの人!
「どうして?忙しい仕事の合間を縫って、こうやって会いに来てるのにぃ!」
か、可愛らしく言ったって、可愛くないですよ!
いや、ちょっと可愛いって思ってしまったけど・・・・。
いやいやいや!また流されてるぞ!しっかり私!
「会いに来て頂かなくて結構です!」
「怒った顔も可愛いよ、伊作君。」
「うぎゃ!」
ふって耳に!耳に行き吹きかけられた!
ゾクゾクと背筋を走るのは、悪寒だ悪寒!
決してよかった訳じゃないんだからな!
「気持ちよさそうな顔しちゃってるのに、意地張っちゃって。」
「違います!」
「可愛い、大好き。大好きだよ伊作君」
にっこりと笑うのは卑怯だ。
「~~~~!」
ぐうの音も出なくなった私に満足したのか、雑渡さんが腕を伸ばしてきた。
「おいでよ、伊作君」
君を抱きたいよ。
熱の篭った切ない声音に、結局私は負けてしまうんだ。
ああ、何て不運・・・。
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