平〇堅の詩で。
夜だけ大胆で 朝には曖昧で
と言う歌詞があります。
それでこへ滝小話、いってみよぉー。(ちょ、長さん!?)
傾向としまして、絵チャで盛り上がった滝は妾の子設定から出来ました!
渕崎さんから頂いた小説の、後日談のようにしようかと思ったのですがムリでした。
私ごときが大それた事したのが間違い、本当。orz
なので全く別物です。(^^;)
もっと、こう・・・・上手くなりたい!!(結局)
R-16(また微妙)ぐらいですよー、気をつけて下さい!(^^)
熱い熱い塊が抜き去られた後は、甘く疼く腰と重い倦怠感。
もう一歩も動けぬほど蹂躙された身体は、それでも悦んでいる。
でも、何かがまだ足りなかった。
横たわる小平太の向こう側、障子に映る影。
あれは、月夜に照らされた風鈴。
涼やかな音をかすかに響かせ、夜風に舞っていた。
ゆらりゆらり。
ああ、いやだ。
滝夜叉丸の脳裏に、幼い頃の記憶が蘇る。
十も離れた腹違いの兄。
長兄で、家督も継ぐ位置に居るというのに何故か目の敵にされていた。
歳をとってから生まれた子だからか、父の可愛がり様は他の兄弟とは比べ物にならなかったのは確か。
あまりの寵愛ぶりに、長兄は己の地位を案じでもしたのか?
家を離れ、随分と経つ今となってはそれも憶測でしかない。
だが。
思い出したくも無いと、蓋をしてきた過去。
何故か今嵐のように胸を吹き荒れる。
いやだ、いやだ、いやだ。
飲み込まれたくない、またあの深淵に立たされるのはいやだ。
滝夜叉丸は起き上がり、寝転がる小平太に馬乗りになる。
「滝?」
虚を突かれた顔で滝夜叉丸を見上げる小平太。
まだ互いに何も纏わぬ姿のまま、じっと見つめあう。
そっと大きな手が滝夜叉丸の頬を包み、暖かい温もりが漣立つ胸中を沈めていく。
でも、それでもまだ足りない。
この手を離してはいけない、決して何があっても。
胸の奥、自身でも探れぬ深い深い闇の中。
貪欲な獣がそう叫ぶ。
背に迫る恐怖と、内側から込み上げる不安。
唯一つの安らぎ、温もりの手。
滝夜叉丸はぎゅっと小平太の手を握り締めた。
「もっと、もっと頂戴。」
今にも泣き出しそうに微笑む滝夜叉丸の願いに、小平太は顔を歪める。
時折見せる、この滝夜叉丸の顔は小平太の胸までもじりりと焦がす。
その理由を問うことすら許されぬ、危うい均等。
深追いすれば、目の前で淫らに強請る滝夜叉丸は壊れてしまう。
ただそれだけ直感で感じた。
きつく抱きしめ、まだ細い身体を己の腕に閉じ込める。
爪を立ててしがみ付いてくる滝夜叉丸は、巣食う闇に食われてしまう寸前で。
震える肩が、泣きたくなるほど愛おしい。
「滝夜叉丸、愛してる。お前が愛しいんだ・・・・。」
「先輩・・・早く、早く頂戴・・・。」
柔らかな唇に言葉を奪われ、小平太は静かに願った。
いつかこの闇を、完全に払拭してやりたいと。
ぐっと後頭部を押さえつけ、噛み付くように深く口付けた。
体制を反転し、組み敷いた滝夜叉丸の不安を、恐怖を、胸に燻るその全てを貫くようにかき抱く。
甘い嬌声とは違う、嗚咽に近い声で滝夜叉丸は小平太を求めた。
「せん…ぱっ…ぃ!もっと…、ぅっ…っひぁ!」
がりっと肩を引掻き、のけ反る喉元。
白くさらけ出されたそこに歯を立てた。
「滝夜叉丸…お前が望むまま全て与えてやる!だから…どこにも行くなっ・・・!」
激しさを増した律動に、息も絶え絶えに喘ぐ滝夜叉丸の身体を抱きしめる。
どこにも行くな、何にも捕らわれるな。
呪詛のように呟きながら、小平太の胸にも見えない相手への闇が広がっていく。
いつか全ての足枷から滝夜叉丸を奪い去ってやる。
白い足を手折り、小平太は最深へと腰を進めた。
白々しく明けていく夜明け。
意識をなくして眠った滝夜叉丸を抱いたまま、小平太はその寝顔をずっと見つめていた。
お互い酷い姿だ。
小平太の身体には滝夜叉丸の引掻き傷が無数に出来ていたのだ。
こうも激しくされたのは、久しぶりだった。
定期的に闇に飲まれそうになる滝夜叉丸。
その度に、くたくたになって眠るまで身体を繋げる。
闇に捕らわれそうになる瞬間歯を立てる小平太の噛み跡が、滝夜叉丸の肩や首筋に残っていた。
小平太にとっては滝夜叉丸を救えないジレンマを抱えての朝。
だが。
「ん・・・・・。」
小さく身じろいだ滝夜叉丸の瞼が震え、大きな鳶色の目が小平太を映す。
「おはよう、滝。」
優しく囁かれたその声に、滝夜叉丸は恥ずかしそうに頬を染めながら小さな声で答えた。
「お、おはようございます・・。」
いつもと変わらないその姿。
豹変した夜の事を、滝夜叉丸は覚えていない。
初めは隠しているだけかと訝しんだものだが、本当にすっぽりそこだけ記憶が抜けているのだ。
きっとそれは、滝夜叉丸が自分で自分を守るために忘れてしまうのだろうと、小平太は思った。
だから、小平太も何事もなかったようにいつもと同じ態度で接する事を決めていた。
「昨日は滝が可愛くて頑張りすぎてしまった、すまんな。体きついだろう?」
乱れても尚美しい髪を梳きながら問えば、優しく睨みつける。
「本当に、体中辛いですよ。・・・・でも今日は休みだから、大丈夫です。」
微笑んでそう言うと、恥ずかしさに耐え切れず小平太の胸に顔を埋める。
愛らしいその仕草に、小平太はまた今回も闇を追い払えた事にほっとした。
優しく抱きしめ、髪に口付ければ回された腕に力が篭る。
「本当に、お前が愛しくて仕方ないよ。」
だから絶対に、奪われる訳にはいかないのさ。
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