床板の軋む音は、嫌いだ。
ぎしぎし、ぎしぎしと。
嫌でも事に及んでいると思い知らされるから。
身体に感じる小平太の熱よりも。
与えられる快楽よりも。
小平太の動きに合わせるように軋む床板が、滝夜叉丸の羞恥心をかきたてるのだ。
「あっ・・・んぅ!」
一際激しい一突きで、最深まで差し込まれた小平太の高ぶり。
火傷してしまいそうな程熱い。
「滝、気持ちい?」
荒い息の合間、優しい口付けと共にそう問われれば頷くしかない。
「きも・・・ち・・ぃ」
「あー、可愛すぎる・・・っ」
「ああっ!」
激しさを増した律動に、耐え切れずに上がる嬌声。
甘く艶っぽいその声に、小平太は身震いがした。
きゅうきゅうと締め付けてくる秘部は、怒張した小平太のモノを必死にくわえ込んでいる。
柔らかで丸い尻を撫で、滑らかな肌に酔う。
「滝すべすべだね、気持ちいい。」
「やぁっ・・・せんぱっ」
「ここも可愛い・・」
くちゅりと濡れた音を響かせながら、滝夜叉丸の幼い精を扱く。
「やぁっ!ひぃっ・・・あっあっ・・・んぅ!」
増した快感に、身悶える。
その扇情的な姿に、思わず喉がなった。
「先輩!もう・・・もぅっ!」
「イく?いいよ、一緒にイこうか?」
「・・・・・・・んっ」
必死に頷く滝夜叉丸が可愛くて、ほくそ笑む。
そんな余裕、微塵もないというのに。
ギュッと滝夜叉丸を抱きしめ、最後の高みへ腰を進める。
上がる嬌声と、艶のある表情。
その全てが快楽となり、下肢を重くした。
「あああ!」
「滝・・っ・・・・ぅ」
白濁したモノを吐き出し、熱い高ぶりが開放された。
荒い息が響くのは、委員会室。
二人の逢瀬は、決まってここだ。
委員会の後、そのまま引きこもる事もある。
長屋から少し離れた委員会室は、格好の逢引の場だ。
「滝、大丈夫?」
「はぁはぁ・・・はい・・・だいじょ・・ぶ」
「いいよ、無理して答えなくて。加減できなかった、可愛すぎて。」
朱に染まったままの頬を更に赤くして、滝夜叉丸は小平太の胸に逃げ込む。
熱い体を抱きしめ合う。
「好きです・・・」
消え入りそうな声で告げられた想いに、頬がにやける。
「私も、滝が大好きだ!」
ぎゅうぅっと更にきつく抱きしめられれば、滝夜叉丸の胸も締め付けられた。
愛しさが溢れて、どうしようもない。
二人で事後のまどろみに浸っていた時、ふと小平太の耳が動く。
「あれ?何か聞こえる・・・。」
そう言われ、滝夜叉丸も耳を澄ます。
すると・・・。
「確かに・・・・って、これもしかして・・・。」
「・・うん、喘ぎ声だ。私たちと同じ事してる奴らがいるのかな?」
にっと笑う小平太と、居心地悪そうに顔を顰めた滝夜叉丸。
「もしかして、文次郎と・・・」
「わー!い、言わないで下さい!!」
予想はしていたのだ。
今日は互いに委員会がある。
それを知っていた滝夜叉丸は、微かに響く甘い喘ぎ声の主に気付いた。
「三木ヱ門ってこんな声で鳴くんだな。」
ふっと目を細めて滝夜叉丸を見る小平太。
その視線の意味が解らず、不安になる。
「滝の声の方が艶っぽくて好きだぞ。だから・・・」
そう言うと、伸ばされた腕が滝夜叉丸を再び床に押さえつけた。
「せ、先輩?」
「滝の方が可愛いって、見せ付けたいから。もう一回・・・」
「え!な、何をいって・・んぅ!」
達したばかりの敏感な身体に、再び与えられる愛撫。
抗う術など、小平太にベタ惚れの滝夜叉丸にあるはずもない。
「三木ヱ門に負けるなよ。」
面白そうに呟いた。
「小平他の奴、ムキになりやがって・・・」
「せ・・・んぱぃ・・・もう・・無理です・・・んっ」
「・・・だよな。」
向こうも張り合ってきている。
文次郎はすぐに気付いた。
乗せられて随分と無理をさせてしまった。
見下ろす三木ヱ門は息も絶え絶えだ。
涙の滲んだ目元に口付け、文次郎は欲を吐き出したばかりの自身を引き抜いた。
「ひゃぁっ・・ん!」
ずるりと圧迫していたものを失い、中からどろりとあふれ出す白濁したモノ。
何回吐き出したのか・・・。
多少自己嫌悪に陥る文次郎。
「全部お前が悪い・・・・三木ヱ門。」
「え・・・?」
いきなりの言葉に、ぼうっと白んでいた頭が揺らぐ。
「お前が可愛すぎるのがいかんのだ。」
そう言うと、にっと艶っぽい笑みを浮かべた。
翌朝。
不毛な言い争いをする文次郎と小平太。
その内容を必死に隠そうとする、三木ヱ門と滝夜叉丸。
何故か腰を摩りながら委員長を止めようとする二人の4年生の姿に、各委員会の後輩達は首をかしげたのだった。
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