「文次郎!!」
「委員長と呼べ!!!」
「お、落ち着いてください七松先輩!!」
「潮江先輩も落ち着いて!」
「これが落ち着いていられるか三木ヱ門!!小平太ぁー!」
「委員長とよべぇぇぇぇ!!!!」
「「もぉう!いやだぁぁぁぁぁ!!!!」」
がっくりと肩を落として落ち込む三木ヱ門と滝夜叉丸。
「大丈夫ですか?滝夜叉丸先輩・・・・」
喧々囂々と言い争いを続ける委員長2人を残し、後輩たちは隣の部屋へ非難した。
体育委員会と会計委員会。
数ある委員会の中でも、ハードな活動内容の2委員会の委員長は予算案の事で揉めている。
抑えようと頑張った4年生の滝夜叉丸と、三木ヱ門は力尽きてしまっていた。
「もう嫌だ・・・・。」
「ああ、無理だ・・・・。」
日ごろいがみ合っている二人だが、委員会に関しては共通点が多くその苦労を一番理解しあっている。
ぼろぼろになって帰ってくると、どちらかがその労を労う風景は良く見られた。
「うちの委員長、体力あるからなぁ・・・」
「うちの委員長もそろばんで鍛えてるから、意外と持久力あるぞ。」
のんびりと傍観している方向音痴の3年生、左門と三之助の声に4年生コンビはさらに脱力した。
「ああ!もう!金吾!四郎兵衛!おいで!」
ガバッと起き上がり、後輩を呼ぶ滝夜叉丸に三木衛門は何事かと首をかしげる。
「はい!」
「はーい!」
どこか嬉しそうに駆け寄ってくる二人の後輩に、滝夜叉丸は両手を広げる。
「「先輩!!」」
「金吾!四郎兵衛!」
ぎゅむ!
二人を抱きしめれば、ほっとする滝夜叉丸。
「先輩は偉いです!よくやりました!」
「そうです!頑張りました!」
「お前たちぃ~~~~!!!」
ぐりぐりと頬ずりして笑いあう三人の姿に、会計委員たちは意外なものを見た気がした。
「お前たちって、いつもあんな感じ?」
左門の疑問に、三之助は事も無げに頷く。
「なんで?しないの?」
そう言うと三之助は立ち上がり、抱き合う3人をまとめて抱きしめた。
「完成ー」
「よし!」
ぎゅっ
「みんな頑張ろうな!!!!」
「「「はーい!」」」
「これが体育委員か。」
なおさら疲れた顔になった三木ヱ門は、うずうずした様子でこちらを見つめる団蔵と佐吉に苦笑する。
「よぉっし!会計委員も負けないぞ!!!来い!!」
両腕を開いた三木ヱ門にぱぁっと顔を綻ばせた一年生コンビは、ダッと駆け出す。
「先輩!先輩だって頑張りました!」
「そうです!負けてなんかないですから!」
ぎゅむ
「お前たち!!!」
ああ、滝夜叉丸の気持ちがわかるかも。
三木ヱ門はふと思う。
なんだかんだと言いながら、この後輩たちが可愛いのだ。
「左門!早く来い!」
「はい!」
ぎゅ
「よっし!会計委員頑張るぞ!!!」
「「「おーーーー!!!」」」
「体育も頑張るぞ!!!」
「「おーーーーー!!!」」
互いに声を張り上げ、励ましあう後輩の声に気づいた委員長二人。
妙に取り残された気分になり、寂しさを感じたのだった。
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