捏造もここまで行けば怖くない。(いやいや)
今日はおまけもあります。(笑)
夕暮れ迫る頃、滝夜叉丸は昨日親当に手を引かれた場所に立っていた。
小平太には笑われた。
滝夜叉丸は律儀だな、と。
昨日見せた親当の微笑みは、本当に優しくて温かかった。
その笑顔を曇らせたくなかったのだ。
まだ蝉の声も大きく響く。
日暮が鳴くのはまだ先か・・・。
あと3日すれば、小平太ともに学園へ戻る事になる。
七松家の生活が余りに濃密で、楽しくて仕方ない。
「もう少し、居たいなぁ・・・。」
少し情けない自分の声に笑い、滝夜叉丸はあぜ道を見つめる。
「早く帰ってこないかな、ちか・・・・兄上。」
誰が聞いている訳でも無いのに、親当と言いかけたのを訂正する。
滝夜叉丸は律儀だな。
先ほどの小平太の言葉が耳によみがえる。
全く持ってその通りだ。
手持ち無沙汰な腕を回し、肩を解し始めた時おおきな声が響いた。
それは親当の声と、もう一つ野太い声。
そして、もう一つは・・・。
「ちかまさー、まてー。」
「誰が待ちますか!てか、京極さま生きてますかー!!???」
「ぶほぉう!く、ぐぐぐるじ・・」
「いけー、高将ー!親当を捕まえろー!」
「いい加減にしてください!京極さまが死にますから!」
必死の形相で走ってくる親当の後ろには、異様に大きな人影。
それは、大柄な男の背に乗り涼しい顔で笑う飴を咥えた男。
絶妙な腕の位置の所為で、飴を咥えた男を背負う大男は首が絞まっていた。
青白い顔で必死に走るのは、非常に怖い。
と言うか、これは一体どういった状態なんだ?
滝夜叉丸の頬が引きつる。
訳が分からない。
「あ、兄上?」
「た!!滝夜叉丸ぅー!!!」
負けず劣らず必死の形相で走りこんできた親当は滝夜叉丸の姿に、嬉しそうに笑って・・・。
「ぎゅっ」
「うひゃ!」
抱きしめられたかと思えば、そのまま担がれてしまった。
「ちょっと!兄上?」
「滝夜叉丸、夜夢に見るぞ!絶対後ろを見るなぁ!!」
いや、もう見ちゃったよ。
顔を上げてみれば、飴男の涼しい目元が滝夜叉丸を捉える。
間の抜けた表情をしているくせに、妙に食えない雰囲気。
(なんか嫌だ、この男。)
滝夜叉丸がそう思っていた頃、飴男も同じような事を思っていた。
「おい高将、あれは親当の弟か?」
「ぼそうへおうご」
「また一つ人として大切なものを失くしてしまったな、高将。言葉を忘れるとは・・・。」
「ぐるしいんだよ!」
必死にそれだけは叫ぶと、高将と呼ばれた男はすっ転んだ。
ずべべー。
飴男もそのまま地べたに顔面から落ちた。
「あ・・・。兄上、後ろの二人がすっ転びました・・・。」
「は?いい気味だ!だが放っておけないこの身分!」
悔しそうに歯を食いしばり、滝夜叉丸を下ろす。
「滝夜叉丸、すまないが孝廉にいつもの客が来たと伝えてくれ。それで分かるから。」
「え、ああ・・・はい。分かりました。」
戸惑いながらも微笑んで頷く滝夜叉丸に、親当の頬が緩む。
「んー。いい子だー。」
ぐりぐり~。
褒め殺しを頂いた時、感じた不穏な空気。
うわー、見たくない。
親当の背越し、恨めしげなグズグズの顔の飴男など。
「ちーかーまーさぁー・・・・。」
大きく嘆息し、その情け無い声を振り返る親当。
「あー、もう。そんな無茶を京極様にさせるからですよ!」
やれやれと言った顔で笑う親当を見ると、心底嫌がっているわけではない事が滝夜叉丸にも分かった。
「顔が痛い・・・」
「そりゃそうでしょう。盛大にすりむいてますからね。ほら立って。」
「立てないー。」
「その傷に塩すり込みますよ。孝廉が。」
「!!」
どうやらこの飴男、孝廉が苦手らしい。
「細川様の前に、京極様が大変ですよ。」
「大丈夫だよ、高将は武官だよ?鍛えてんだから!それに比べて私は細腕の文官なんだよ?」
可哀相なフリをして涙を浮かべた飴男に、親当は眉を下げ困った顔で笑う。
「はいはい、分かりました。ほら、手を出して。」
親当が飴男を引っ張り上げた時、また滝夜叉丸と目が合う。
ニッ。
悪戯が成功したと言わんばかりの笑みを浮かべた飴男に、滝夜叉丸はあきれ返った。
(早く孝廉さんに伝えよう・・・。)
滝夜叉丸は親当が朝愚痴ていた気持ちが、ほんの少し分かった気がしたのだった。
おまけは、職場での兄上と飴男と高将と呼ばれた大男の4コマです。(^^)

ちょっと最後の線が、酷く曲がってる事に、スキャンしてから気付きました。(^^;)
親当の二人の上司。
頭弁(とうのべん)の、細川 晴雪(20)
頭中将(とうのちゅうじょう)京極 高将(34)
でした。(^^;)
本当もうここまで来たら、オリジナルすぎて笑えてしまいますね~。
すみませんー。
あ、お兄ちゃんの上司はこんな感じでしたーTさま(笑)。
ちなみに、お兄ちゃんと上司の関係勘ぐってください。(爆笑)
多分晴雪の片想いですけど。(^^)
これをメルフォのお返事代わりに捧げます。(^v^)
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