七松家次男妄想↓
七松孝廉(18)
温厚で、いつも笑顔の糸目。
作物を育てるのが好きで、得意。
スイカ畑の持ち主。(笑)
背が低い。(160cmくらい)
小平太にも抜かれてしまった兄。
忍術学園OB。
孝廉の時代は特に6年生が少なく、生物委員長と用具委員長を兼任していた。
兄弟の中で一番優しいが、一旦怒らせると一番怖い。
動物や植物をいじめたり、食べ物を粗末にすると怒る。
長男親当が妄想を終えた頃、スイカ畑の持ち主登場。
「おかえり、小平太。」
ニコニコニコニコ。
とても人のいい笑顔に、滝夜叉丸の緊張もほぐれます。
「ただいま!こっちは」
「滝夜叉丸くんだろ?」
「は、はい。平滝夜叉丸です!」
「何も無いところだけど、ゆっくりしていってね。」
ニコニコニコニコニコ。
「ありがとうございます!」
滝夜叉丸の緊張ほぐれまくりです。
「所で小平太、私があげたひまわりはもう咲いたかい?」
「・・・・・・・・・・・・・ひま・・」
「先輩?」
何だか脂汗を浮かべる小平太。
その様子を不思議そうに見上げる滝夜叉丸。
ごくり。
小平太の喉がなる。
何の事だろう?
滝夜叉丸が孝廉に目を向ける。
ニコニコニコニコニコニコニコニコ。
「小平太、後でお兄ちゃんと鬼ごっこしようか?」
場の空気が凍りついた。
よく分からないが、滝夜叉丸は再び緊張してしまう。
「今からでもいいけど。あ、滝夜叉丸くんも一緒に鬼になって小平太を追いかけようか?ひまわり一本育てられない愚弟をおいかけよう!」
「ぐ、愚弟・・?」
「兄ちゃん、あれは枯らしたんじゃないって!その、あれだよ!後輩がね!」
「後輩の所為にするのか?往生際の悪い。」
ニコニコニコニコニコニコニコニコニコ。
何故だろう、笑顔なのに凄く怖い。
「兄ちゃん!」
「よーし、100数えたら追いかける。」
「あ、あの孝廉さん?」
「滝夜叉丸くん、用意はいいかな?」
ニッコリ。
ひぃぃぃ、怖いよー!
「行くぞー小平太!いーちっ」
「ぎゃぁー!!!」
慌てて走り出す小平太。
「ひゃく!」
「ええ!2~99は無いんですか!?」
「これが七松式だよ!滝夜叉丸君!」
ニコニコニコニコニコニコニコニコニコ。
ダッと駆け出す孝廉。
その速さ、小平太以上。
「こ、これが七松式!!??」
目が点状態の滝夜叉丸。
遠くでカラスの鳴き声と、ヒキガエルに似た小平太の声。
「ぎゃー!兄ちゃんごめんってば!」
「あははー、子供の頃を思い出すなぁ!小平太ぁ!」
「いやー!目が笑ってないー!」
「滝夜叉丸君、気にしないで。先に家に帰っていよう。」
行き成り声を掛けられ、呆けていた滝夜叉丸はハッとする。
振り返れば親当が微苦笑を浮かべていた。
手には大きなスイカ。
「まああれが、あの二人の再会の儀式・・・みたいな・・・。」
あはは、と笑いそっと手を差し出す。
「さあ、行こう?」
にっこりと微笑まれた滝夜叉丸は、その手の意味がわからなかった。
手を引かれなければ迷うほど子供ではない。
しかし、優しい笑みを浮かべる親当の顔を見ていたらその手を断る事は出来なかった。
おずおずと差し出した手をさらい、大きな手がぎゅっと滝夜叉丸の手を握る。
小平太とは違う、しなやかな手。
だがその温かさは、小平太と同じ。
「これが、七松式・・・・か。」
ポツリと呟いた滝夜叉丸の手を引き、親当は母屋へと足を向けた。
「弟達があと二人いるんだけど、昨日から母方の祖父母の元へ遊びに行っているんだ。だからちょっと寂しくてね。」
少し照れたように微笑む親当。
「仕事から帰るとね、この辺りまで弟達が迎えに来てくれてて。その手を引いて帰るのが私の日課なんだ。」
弟達の姿を思い出しているのか、その頬は緩みきっている。
なんて優しく笑う人なんだろう。
こちらにまで笑顔がうつってしまいそうだ。
「ちょっと迷惑かもしれないけど、家にいる少しの間でもいいから弟になってくれないかい?」
何故だろう、泣きたくなるほど胸が熱い。
滝夜叉丸は夕日に染まる親当の顔を見上げ、どうにか笑顔を浮かべた。
「はい・・・・、不束者ですけど。」
「あはは!それじゃあ、まるでお嫁さんだね。」
スイカを抱えなおし、見え始めた母屋を繋いだ手で指す。
その手につられて上がる腕。
「あれが家。おんぼろだけど、我慢してね。」
ぽりぽり頬をかく親当。
繋いだ手は、今度はもっと上へ。
どんな時でも、手を離さない。
これも所謂七松式なのか?
むずがゆくて、こそばゆい。
だけど、凄く嬉しい。
滝夜叉丸は親当の手を強く握り返し、心からの微笑みを浮かべた。
「じゃあ、兄上とお呼びしないといけませんね?」
気取りの無い笑顔を見せた滝夜叉丸に、親当は満面の笑みで頷いた。
それから数刻経ち。
「ただいまー!」
「た、ただい・・・ま」
元気に帰ってきた孝廉と、疲れ果てた小平太。
美味しそうな夕餉の匂い。
そして。
「あ!兄上、先輩と孝廉さん戻られました!」
「そうか、じゃあ椀を出してくれるかい?滝夜叉丸。」
「はい、すでに並べております。」
「な!滝夜叉丸!何て偉い子なんだお前は!」
かいぐりかいぐり。
頭を撫でた後、両頬を包んでおでこを付き合わせる親当。
ぐりぐり。
それは、親当の弟全員が経験している。
お兄ちゃんの褒め殺し。
鬱陶しいほどの愛情表現。
「な、なんか腹が立つ・・・。」
しかし小平太の呟きは、孝廉の腹の音でかき消された。
「よーし飯だ!孝廉、父上と母上をお呼びしろ!」
「はい、兄上。」
「むぅぅぅ、滝!ちょっとこっちに来い!」
「小平太!お前はまず泥を落として来い!!!」
親当さんの雷。
これには弟連中は逆らえません。
逆らってはいけないのです。
ぐうの音も出ない小平太は、すごすごと井戸へ向かったのでした。
明日からあれですよ、「滝夜叉丸の夏休み」が始まるんですよ。(笑)
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