
とっても孫兵が嫌そうですね。(爆笑)
最初は、何か飼育してた毒虫が死んで悲しむ孫兵と慰める竹谷のつもりだったんですが^^;
物凄く嫌そうwww
どうしたもんだ!
孫兵はクールビューティーだけど、根は甘えたがりだと良いvv
無条件で甘やかしてくれる竹谷に、やや警戒しつつも絆されてしまえ!
竹谷はきっと強引な事はしないけど、生まれつきの男前気質でグングン孫兵の関心を引きまくれば良いんだ!
頑張れ竹谷!(笑)
ガンバレーガンバってくれー!(^^)
と言う事で、今日は頑張る竹谷で。(^^;)
たちが悪い。
孫兵の様子がおかしいと気づいた時には、既に遅かった。
ひっそりと立ちすくむその背に近付けば、手には割れた壷。
それは、孫兵が育てていた毒虫。
快く思わないものがいることは知っている。
だが、その命に罪があるのだろうか?
人間は神じゃない。
少し知恵があるだけで、全ての生き物の頂点にでも立ったかのように振舞う。
おこがましい。
そんな傲慢な奴らは、すぐに他者を蔑みたがる。
そうしなければ、己を確立できない弱者だからか。
「孫兵。」
ビクリと震えた肩に手を伸ばせば、身を捩って嫌がる。
「止めて下さい・・大丈夫ですから。」
孫兵は孫兵で、殻を作る事で身を守ろうとする。
薄く脆いその殻は、震える肩と似ていた。
「大丈夫なら顔を上げろ。」
有無を言わさず抱きすくめれば、もがいて逃げようとする。
泣いた顔を見られたくないと、覆う手を奪った。
「止めて下さい!私に構わないで下さい!!!」
もがいて暴れる孫兵の手から、割れた壷が滑り落ちる。
「あ!」
潰された虫達の死骸がバラバラと転がった。
その無残な姿、孫兵の悲しみはいかほどか。
計り知れぬその胸中に思いを馳せれば、目頭が熱くなる。
「もういい!」
全ての抵抗を受け止め、孫兵の目を覆った。
「お前の所為じゃない、卑劣な奴らの為に自分を責めるな!」
「・・・・・・っ!」
”毒虫野郎”そう陰口を叩かれている事を知っていた。
生物委員の飼育している生き物達は、ほぼ孫兵が飼育している。
その所為で、孫兵は脱走騒ぎの度に一番に槍玉に挙げられてしまう。
必死に庇ってきたつもりだったが、及ばない事も多い。
今回だってそうだ。
孫兵は、今自分を責めている。
自分の所為で、罪のない命を失ってしまった。
そう、攻め続けているはずだ。
きっと、ずっと。
一人で抱えて、身動き取れなくなるまで。
「孫兵・・・、ごめんな。」
「・・・何故先輩が謝るんですか。」
冷静を取り繕う、震えた声。
キリキリと胸が痛んだ。
「お前の支えにもなれず、かける言葉も見つからん。俺は不甲斐ない男だ・・・」
すまん。
もう一度呟かれた謝罪の言葉が、酷く弱々しく聞こえたのか。
孫兵は抵抗する力を緩めた。
そして、消え入りそうな声で、ポツリと本音を漏らす。
「先輩も思っているのでしょう?・・・・私を、毒虫みたいだと・・。」
嫌われ者。
くっと唇を噛み締め、嗚咽を堪える孫兵に拳が震えた。
ぎりぎりと食い込む爪の痛みなど、気付かぬほどの激情が荒れ狂う。
「ふざけるなっ!!!」
「!!!」
初めて受けた竹谷からの怒号に、孫兵はヒッと竦み上がった。
強引に向き合うと、怒りを隠しもしない竹谷の目。
じっと見下ろしてくるその表情は、酷く悲しそうに歪んでいた。
「お前が飼っている毒虫は、他人からは嫌われているかもしれない。それでもお前にとっては、可愛い存在だろう?」
怒りを露にしていると言うのに、その声は余りに優しすぎて。
孫兵の中の尖った感情を打ち払っていく。
「お前が他人にどう思われていようと、俺にとってはお前は大事な存在なんだぞ?例えお前自身でも、俺の孫兵を卑下する事は許さんからな!」
「せ・・・せんぱ」
「解ったか!!!」
「は、はい!」
竹谷の勢いに押されるように、大きな声で返事をした孫兵。
その声と、呆気にとられた表情に竹谷はにっと笑った。
明るい笑顔とその奥にある、切ない悲しみ。
「埋めてあげよう?」
ちゃんと解ってくれている。
孫兵は、殻が壊れる音を聞いた気がした。
奪われた命を、竹谷はちゃんと見てくれている。
軋んだ胸の痛みと共に、じんわりと染み入るような温かさ。
大きな手がそっと頭をなでる。
「ありがとう・・・ございます。」
やっと捻り出した声は、震えていて情けない。
それでも、その一言で。
竹谷の顔はほっ、と緩んだ。
「こっちこそ、ありがとう孫兵。一緒に弔わせてくれて。」
「そんな事・・・感謝されるような事じゃないです・・。」
「あるよ・・、俺にとってはな。」
もう一度、優しく抱きしめた孫兵の身体はもう震えていなかった。
本当に優しい人間は、いつも自分には優しくできない。
だから。
「俺はお前にだけは優しくしたいんだ。」
「・・・・・・へ?」
「素直に甘えも頼りもしてくれないお前だけは、俺から手を伸ばさないといけない。でもそれは俺の独りよがりだったりするかもしれない。だから、ありがとうなんだ。手を取ってくれて、ありがとう。」
ぼっと音がするほどに赤く色付いた頬に、にやけてしまう。
「さ、用具からスコップ借りてくるから。場所決めておいてくれ。」
「え・・・あ・・は、はい・・・。」
見事にペースを乱された孫兵に微笑み、用具倉庫へ向かった。
後日。
薄暗い体育倉庫に、うめき声が響く。
「ゆ・・・ゆるし・・」
「許しなんか乞うつもりか?どの面下げて?」
竹谷の見下ろす先には4人の生徒。
5年の制服が泥にまみれ汚れている。
薄く微笑む竹谷に、旋律を覚えた4人は起き上がる事ができない。
「そのぐらいにしといたら?」
間延びした声が響く。
「鉢屋、こいつらだけなのか?」
「僕の調べではね。」
飄々とした顔で笑うと、蹲る同級生の髪を引っ張り上げる。
「ひぃっ・・・」
「あーあ、酷い顔。」
人の良い雷蔵の顔で微笑む鉢屋に、震えが走る。
「おい、ウチの八左ヱ門怒らせると怖いから、もう止めときなよ~」
そう言うと、鉢屋は同級生の腫れ上がった顔を地面に押し付けた。
「ね、もういいでしょ。」
すっと立ち上がり、竹谷の肩を叩いた。
短く嘆息して頷いた竹谷に満足したのか、鉢屋は倉庫の戸を開く。
差し込む光を背に、竹谷は蹲る4人の前に膝をついた。
「金輪際孫兵に手を出すな。あいつが飼っている虫や動物にもだ。いいな。」
「二度目はきっと分かんない様に消されちゃうよ、僕に。」
明るい声で笑う鉢屋。
背筋が凍った。
4人には分かった、鉢屋の言葉が冗談などではない事が。
「全ての生き物は、ただ在るがままに生きているだけだ。毒を持っていようが、人間に有害であろうが。ただ生きているだけだ。人間の都合でどうこうしようと考えるなんて、傲慢だ。」
「俺たち人間は、神じゃない。」
その言葉に、鉢屋はひっそりと笑った。
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何か、長くなった・・・^^;
そして、ブラック鉢屋が登場!
この後の鉢屋を書きたいです。
明日は、鉢屋かもしれません。(^^;)
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