忍者ブログ

錆浅葱

小話とアニメ感想
MENU

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

2年後の体育委員会

風邪もひと段落で、体調もよくなりました^^
トップを変えたくて必死で絵を描いたんですが、まあ残念な感じに仕上がりつつあります(笑)
数年後体育です。
と言っても下克上の三角関係ですけど^^;
早く色塗り終えて、改装したい~~
って、その前にコピ本の原稿だよ!
製本作業が10月の三連休に決まったので、それまでに仕上げないと^^;
んー約一週間ですね!(笑)
やれるよ、やれるさ!
ちょっと寝ないで、ちょっとネット我慢して、ちょっと絵チャ我慢すれば良いんだよね!
・・・・・それ辛いなぁ(駄目人間め)
がんばろー^^;




*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~


ずっと長い間不思議に思ってきたことがある。
それは・・・・。
「滝夜叉丸先輩。」
「ん?何だ四郎兵衛?」
6年生の制服に身を包んだ先輩は、少し首をかしげて振り返る。
さらっと揺れた髪が、日の光に透けて綺麗だ。
「先輩、ずっと不思議に思ってたことがあるんですよ。」
「不思議に思っていたこと?何だそれは。」
裏裏山の頂上、岩の上に座る僕の隣に腰を下ろした先輩は頭をなでてくれた。
もう4年生にもなるのに、先輩の僕に対する態度は変わらない。
いつまでも手を引いていた後輩のままなのだろう。
もどかしいようで、それでいてこそばゆい。
「滝夜叉丸先輩と七松先輩っていつから恋仲になったんですか??」
「!?」
質問した途端真っ赤になって固まる先輩は、僕の目からしても可愛かった。
「お、お前は時折とんでもない事を言い出すな・・・。」
「そうですか?」
恨めしげな視線を向けられるが、イマイチ分からない。
そんなにとんでもない事を言っただろうか??
「だって不思議だったんですよ。僕が気づいた時には先輩たち仲良かったし・・。」
赤らめた頬と、顰められた眉根。
取りあえず、それが照れ隠しだということは僕にも分かった。
「それで・・・・いつから?」
もう一度問いかければ、観念したようなため息。
「・・・分かった、教えてやる。」
頬をなでながら、そっと耳打ちしてくれたその内容に、今度は僕が赤く染まってしまう。
「ほ、本当なんですか・・・それ・・・。」
「こんなことで嘘をついてどうする・・・。全て本当だ。」
少しいじけたようにそっぽを向いた先輩に、愛想笑いで返してほっと息を吐いた。
まだちょっと、僕には早かったかも。
でも、先輩が僕と同じ4年生の時には・・・・その・・・あれが・・・・・・それだったわけで・・・。
「うひゃ~~~~~!」
「な!どうした四郎兵衛!!??」
恥ずかしさのあまり、いきなり叫んだ僕に驚く先輩。
そりゃ当たり前だ。
でも自分に置き換えたら、凄く恥ずかしくて!!
僕を心配する先輩をちらりと盗み見れば、複雑な表情で僕を見ていた。
「先輩って・・・・凄いですね・・・。」
「・・・・何がどうすごいんだ?」
僕のその言葉に、少し嫌そうに顔を顰めた先輩。
うう、スミマセン。
身をすくめた僕に嘆息し、呆れた顔で俯く。
「いや、気にするな。」
「すみません・・・。」
「・・・・・・私自身、お前を見ていると・・・・。昔の私は・・・ませていたと思うよ。」
「相手が・・・・あの七松先輩ですもんね。仕方ないですよ・・・。」
あははと笑うと、先輩も微苦笑を浮かべた。
「まあ、あの人だからな・・・。」
その目には呆れだとか、憂いだとか、そんな感情と一緒に溢れる愛しさが垣間見えた。
何だか、凄い。
恋って凄いと、そう思えた。
「じゃあ、先輩。もう一つ聞いてもいいですか?」
「・・・今度はなんだ?」
肩をすくめて笑う先輩は、こつりと僕の頭に自分の頭を預けてきた。
寄りかかられた重みが、酷く心地良い。
ふっと香った匂いは、先輩から。
この匂いが、大好きだ。
「次屋先輩と金吾、僕から見ても頑張ってると思うんですが。」
「ははっ。四郎兵衛にもようやく分かるようになったのか。」
「あれ?僕だけですか?分かってなかったの。」
「まあな。でもそれが四郎兵衛だ、お前の良い所なんだよ。」
一際優しい声になった先輩の手が、頭をなでてくれる。
気持ちいいなぁ。
お母さんとはまた違う、温かい手。
辛いマラソンも、塹壕掘りもこの手が支えてくれたから頑張れたんだ。
「先輩、大好きです~。」
きっと緩みきった顔だっただろう、でも妙に嬉しくて言葉が口をついて出た。
一瞬目を丸めた先輩も、嬉しそうに笑ってくれる。
「そうか、私も四郎兵衛が大好きだぞ。」
可愛いやつめ!
グリグリと頭を撫でられると、初めて委員会に参加した日のことを思い出す。
あの日からずっと。
きっとこれからも。


先輩が大好きだ!



「こんな所に意外な伏兵が居ようとは・・。」
「気が抜けませんね、次屋先輩。」
「まあ、四郎兵衛の好きは少し違うがな。」
「そうですけどね、最近一番可愛がられてるのは時友先輩と言うのは変えがたい事実です。」
「それを言うな金吾。俺はお前だけでも頭が痛いのに。」
「あはは~そうですか?ま、私たちの前には大きな壁がありますからね。」
「ま、まずはそこが問題だな・・・・。」


「「意地だけで乗り越えられる気がしない・・・。」」


不埒な感情を抱いてしまった後輩二人は、越えられそうにもない大きくて大らかで大好きな壁を思い出して苦笑した。


*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~

四郎兵衛の好きは、お母さん大好き!と同じ好きです。(笑)
滝夜叉丸もそれが分かってるので、ただただ可愛いんですよ!
しろちゃんの事が!
次屋と金吾は、恋愛感情ダダ漏れなので少し警戒されてるといい。
絶対二人っきりとかならないように、常に四郎兵衛装備(笑)
次屋の迷子予防も、金吾の仕事に変わってるんですよきっと。
なので、今日の小話の時も次屋を拾いに行った金吾を待ってる時なんでしょう。(こじつけ)
ああ、体育家族が愛しすぎて楽しすぎる!


そして何より!!!!

44巻早く届いて!!!!(切実)

早く読みたいよ~~~・・・・
うう、届くまで原稿頑張ります・・・・







PR

うそー

忍者の不具合で小話書けないな~なんて思ってたら、いきなり復活してた^^;
うちだけ?うちだけが悪かったの?
メンテまだなのになんでだろう?って思ってましたよ^^;

えーと。
風邪引いたので、風邪引いた滝の独り言。
間に合わせ感ムンムンですが、許してください。





熱い。
身体がかっかと燃えるようだ。
熱で潤んだ視界は、ぼんやりとぼやけてイライラする。
「大丈夫かい?自惚れや。」
間延びした色のない声がふってきた。
「喜八郎・・・病人に嫌味とは感心しないな。」
がらがらの声で反論しても、なんとも格好の付かない事か。
「ふふ、弱ってる滝は好きだよ。大人しくて可愛いじゃないか。」
「可愛いなんて嬉しくない。」
「そう?あの人に言われたら、嬉しいんじゃないの?」
細められた三日月のような目が、痛む頭に響く。
「煩い。お前おちょくりたいなら出て行け。」
「ここは私の部屋でもあるんだけどねぇ?」
楽しそうにコロコロと笑い、喜八郎は冷たい手ぬぐいを額に乗せた。
「ほら、こんなに熱くなって。全くもう、委員会で無茶するからだよ。」
それで怒っているのか。
相変わらず変な所で過保護だ。
「滝夜叉丸、こんなに冷え込んだってのに遅くまで川下りって、風邪ひいいて下さいって言っている様なものだと思わないのかい?」
心底呆れきった声が耳に痛い。
「分かってはいるが・・・」
「あの委員長には逆らえないって事か・・・厄介なお人だね。」

だから大嫌いなんだ。

聞こえてしまう喜八郎の胸のうち。
喜八郎の言う事ももっともだ。
だが・・・。
「そんな泣きそうな顔しなくてもいいでしょう?愚痴の一つぐらい言わせてよ。」
困った顔で苦笑し、喜八郎は摩り下ろしたりんごを匙で食べさせてくれた。
「滝は本当にあの人にベタ惚れで、私が大好きなんだな。」
「な!げほごほっ!」
喜八郎の一言に、大いにむせ返ってしまう。
なんていうことを言うのか!
息ぐるしさで目眩がする。
「大丈夫?全くもう・・・。」
「お前が変な事を言うからだ!!!」
「変なことねぇ・・。大好きな七松先輩のことを、信頼してる私が嫌う事が凄く悲しいくせに。」
「うっ・・・。」
「病人を苛めるなんて事したくないよ、もう何も言わないから寝なよ。」
そう言うと、喜八郎は優しいくて冷たい手で私の頭をなで始めた。
「明日になれば治るさ。治らなかったら私が現況をここに連れて来て甘い看病をさせてあげるよ。」
「!!!」
「はいはい寝る寝る!」
にっこりと満足いったように笑い、喜八郎はそっと瞼を覆った。
「おやすみ滝夜叉丸、早く元気におなり。」
いつにない優しい声は、眠気を誘うには充分だ。
「・・・・・・ありがとう」
心地よい振動と、冷たい手ぬぐい。
熱の篭ったため息を一つついて、まどろみに落ちていった。



翌日、喜八郎に連れられて来た七松先輩が説教をされた。
私の隣で正座をして、しょんぼりと肩を落とす姿は可哀相だけど可愛かった。
「ほら、滝夜叉丸に謝りなさい!」
「す、すまん!」
「本気で反省していますか!」
「してるって!」
「怪しい・・・」
「ちょ、綾部!滝夜叉丸、私ちゃんと反省してるよね?」
「心が篭ってない!」
「喜八郎、いい加減に・・・」
「だまらっしゃい!滝はこの人に甘すぎる!」
「あ、綾部・・・お前は小姑か?」
「それも良し!」
「喜八郎・・・」
「綾部・・・・」

滝夜叉丸の風邪は、その翌日には完全に治ったのだった。

君が見る空の行方


今日は青空が見えない。
綺麗な空を見たいのに。
こんなどんよりした低い雲など見たくないのだ。

「助けて。」

空がそう言ってる。
降り出した雨はきっと、空の涙だ。

頬に当たる雨粒は、酷く冷たい。
土の湿った匂いと、草の濡れた匂い。

空の涙は、大地を潤す。
なんて矛盾なんだろう。
誰かの悲しみが、誰かの糧になるなんて。
嫌な連鎖だ。


「風邪ひくよ。」


曇天も冷たい涙も、赤い傘に遮られる。
柔らかな声と、背中越しに感じるその温度。
いつもいつも、側に居た温もり。


「雷蔵・・・。」

「空はまた泣いてるの?」

「多分・・・ね。」

「そっか。」

濡れそぼった身体を、そっと抱きしめてくれる腕。
柔らかな拘束に、目眩がした。

「竹谷がごめんって、変なことつき合わせて・・・・だって。」

「別に頼まれたからやった訳じゃないのに、竹谷らしい。」

「三郎・・」

「雷蔵、俺たちは神様じゃないんだって。」

「え?」

「竹谷がね、人間は神様じゃないって言ったんだ。妙にね、その言葉がひっかかってね。」

「そう。」

「確かに、人は神になんかなれない。当たり前の事だけど、凄く・・・・衝撃的だったんだ。」

「衝撃?」

振り返り、見つめる雷蔵の瞳。
同じ顔が映りこんでいるのに、その表情は全く異なっていた。

「知らぬうちに、俺の心にも驕り高ぶりがあったんだよ。いつの間にか。」

そっと雷蔵を抱きしめ、その温かさに酔う。

「三郎、それは私の内に潜む鬼だよ。」

「鬼?雷蔵の中に?」

意外な言葉に苦笑し、その顔を覗き見る。
そこには微笑が浮かぶ。

「前に三郎が言った、私を帰点にして自分を取り戻すんだって。あの日・・・初めて手を汚した時に。」

「・・・・・。」

「雷蔵、この世の中にただただ美しいものなどないよ?皆沢山の業を引き摺って、必死に足掻いてる。その姿、苦悩そのものが美しいんだ。まっさらである事が綺麗なんじゃない。」

「雷蔵・・・・。」

「だからね、三郎。後ろめたさなんて、感じなくていいよ。」

にっこりと笑う雷蔵の強さに、ためらわずに身を任せた。
優しい声が、腕が、全てを解してくれる。

「三郎、大好きだよ。」

「ん、俺も雷蔵が大好きだ!」

「ちょ!苦しいよ三郎!」

「うん苦しいよ、雷蔵を想いすぎて胸が苦しい!」

「ひぃえ!」

さっきまであんなに積極的な事を言ってくれた癖に、真っ赤になる雷蔵が可愛い。
お前はなんて優しい鬼だ!




イミフ・・・・orz
ごめんくさい。(極刑)

やっぱり体育が好きですvv


昨日しろちゃん目線の体育家族書いたら、ああやっぱり体育家族大好きだー!!!!
と思ってしまいました。(笑)
今日は一人ネチネチ甘え金吾描いてました^^




「先輩重くないですかー?」
「私を誰だと思っている!お前ぐらいおぶった所でふらつく私ではないわ!」
「はい!やっぱり先輩はかっこいいですvv」
「そうか!やはり金吾はよく分かっているな!」
あははははははは!
高らかな笑い声が響くと、背中に優しい振動が伝わる。
顔に掛る綺麗な髪の毛が、気持ちよくて。
「先輩、髪の毛が綺麗です。」
「そうだろう!何せ私はサラスト第2位だからな!」
「次は間違いなく1位です!」
「金吾!お前はなんて可愛いやつなんだ!」
滝夜叉丸先輩が嬉しそうに笑ってくれる事が嬉しくて、同じ褒め言葉だと分かっていてもつい言ってしまう。
「金吾、今度の休みの日には団子を奢ってやろう!」
「やったー!本当ですか!」
先輩と一緒にお出かけだ!
「手つないでくださいね。」
「はぐれてはいけないからな、勿論だ!」
「はい!」
きゅっと首にしがみつき、良い匂いのする髪の毛に頬を埋めた。


「先輩だぁいすっき!」



満面の笑みでそう告げた金吾に、小平太の頬が引きつった。
「三之助、あれは愛情なのか?慕情なのか?」
「・・・・足元すくわれないように、せいぜい気をつけることをオススメしますよ。」
「シビアだな三之助。お前だけじゃないのか・・・・安全圏は四郎兵衛だけか。」
「ほえ?」
「いいんだよ四郎兵衛、お前はそのままのピュアっ子でいてくれ」
「そうだぞ四郎兵衛、首突っ込むと疲れるぞ。」
「あら、そう思うなら引っ込めていいんだぞ三之助。」
「お断りしますよ。」
にっと笑い合う小平太と三之助に、四郎兵衛は首をかしげるのだった。

鉢屋は後日になりました^^;

昨日の竹孫の続きで、ブラック鉢屋を書こうとしましたが無理でした^^;
10月7日の忍たま気になります!
不破雷蔵先輩の段!あれで双忍補給すれば、書けるかも!(笑)
双忍大好きなのになぁ。
ちなみに昨日の竹谷の一人称ですが、俺にしてみました。^^;
上級生や教師に対しては私だけど、後輩達とか同級生には俺だとかっこいいなぁと思って。
鉢屋も僕にしてみましたが、鉢屋は私でよかったかも^^;
僕の方が、ちょっと腹黒い気がしたんですよ、昨日はね。
今日は、久しぶりに体育委員書きたい!!!!と思ったので^^
体育家族!行きます!





「四郎兵衛は物好きだよな。」
いきなりそう言われも、一瞬何の事を言われたのか分からなかった。
見上げた同級生の顔は、苦笑を称えている。
「何が?」
「一年の時あんなに大変だって言ってたのに、また体育委員になるなんて。信じられないよ。」
ため息をついて目の前に座った左近に、つい笑ってしまう。
「そう言う自分だって、不運がうつるからイヤだって言ってたくせに、また保健委員じゃないか。」
「そ、それはそうだけどさ・・・」
「まあ、左近の場合はもう不運がうつってたんだよ。だからくじ引きで引き当てたんだ。」
「三郎次!」
左近の隣に座り込んだ三郎次は、手にしていた包みを文机の上に広げた。
「食堂のおばちゃんが手伝いのお礼にくれたんだ。みんなで食べようぜ。」
美味しそうなお饅頭がころころと溢れた。
「四郎兵衛、久作は?」
「あれ?さっきまで居たんだけど・・・。」
「委員会の当番かな?」
「三郎次、久作の分別に取って置いてやればいいんじゃないか?」
そう言うと、左近はてきぱきと別の紙を取り出す。
「こっちに分けといてやろうよ。」
「そうだな。」
ちゃんと4等分に分けられたお饅頭を貰い、みんなで手を合せて頬張った。
「美味しいね~!」
美味しいものを食べると、つい笑顔になってしまう。
それは左近と三郎次も同じ。
「うん、美味いな!」
「本当だ!」
「三郎次、ありがとうね。」
美味しさに夢中になって、お礼を忘れていた。
三郎次がおばちゃんの手伝いをして貰ったと言うのに。
「あ、俺も言ってなかった。ありがとうな。」
「いいよ別に。みんなで食べた方が美味いし。」
にっと照れ隠しの笑顔。
そこへ。
「あー、いい匂いがすると思ったら!」
沢山の本を抱えた久作が、部屋に入ってきた。
「凄い量だな・・・。」
慌てて走り出した三郎次と左近に続く。
久作の抱えていた本をそれぞれ手に取り、棚の上に並べていった。
「ちゃんと久作の分とってあるよ。」
「三郎次が分けてくれたんだ。」
「本当!嬉しいなー。三郎次ありがとうね!」
心底嬉しそうに笑った久作の笑顔に、三郎次はさっきよりも更に照れてしまった。
「もう良いってば、ほら食べろよ。」
4人で輪になり、残りのお饅頭を食べ始めるとさっきの話題が戻ってくる。
「で、四郎兵衛は何でまた体育委員にしたんだ?」
そんなに気になるのかな?
「また体育にしたの?」
驚いた顔で振り返った久作のほっぺには、あんこが付いていて間抜けだ。
「久作ほっぺにあんこ付いてるよ?」
「へ?」
「ぶ!」
「ガキかよ・・」
「あはははー・・・・」
ぐいっと拭うけど、上手く取れないところが久作らしい。
「だって、何だかんだ言ったって体育委員会楽しいんだもん。」
「あんなにクタクタになるまでただ走る委員会が?」
「滝夜叉丸がいるのに?」
「迷子の次屋先輩の手をいつも引かないといけないのに?」
一気に押し寄せた同級生達の疑問。
何だか可笑しかった。
外から見たら、確かにあんなに無謀でハチャメチャな委員会はないのかもしれない。
でも七松先輩を筆頭に、現体育委員会の面々はみんなずっと体育委員会なんだ。
「だってね、七松先輩はいけどんで付いて行けない事の方が多いけど、すっごく優しくて力持ちなんだ。僕の事肩車して走ってくれたり、泳ぎを教えてくれたり。お父さんみたいに暖かくて大きい背中が大好きなんだ。」
ニコニコと嬉しそうに語りだした途端、みんなの目は更に丸く見開かれた。
そんなに意外かな?
「滝夜叉丸先輩はね、みんなが言うように自慢ばっかりだけど本当はすっごく優しくて、面倒見がいい人なんだ。僕が疲れて動けなくなった時は絶対おぶってくれるし、手を引いてくれて。野営の時怖くて眠れなかったんだけど、滝夜叉丸先輩が隣で寝てくれてね。僕が寝付くまでずっと背中を摩ってくれたんだ。」
三郎次が饅頭を落とした。
あれ?何か凄くショック受けてる?
左近なんてお茶を淹れる手が止まって、今にも溢れてしまいそうだ。
「左近、お茶毀れるよ?」
「うぇ!あ、・・・うん。」
久作は饅頭を喉に詰めた。
「次屋先輩はね、毎回迷子になるけど僕が迷子になったときには真っ先に見つけてくれるんだ。滝夜叉丸先輩に縄つけられて捜索させられるんだけどね。」
「「「犬かよ!?」」」
三人の声が揃って、笑ってしまう。
「僕もそう思ったけどさ、次屋先輩は僕を見つけたときすっごくホッとした顔してたんだ。で、その日から絶対に繋いだ手を離さないようになったんだよ。四郎兵衛が迷子になったら大変だからって。逆なのにね。」
その時の滝夜叉丸先輩の苦い顔や、七松先輩の大らかな笑い声が即座に蘇る。


「僕体育委員会がだぁーい好きなんだ!」


やっぱり三人は呆けた顔のまま固まっていた。




「まあ、あんな笑顔で幸せそうに言うくらいだからな。」
「うん、無駄な心配しちゃったよ。」
「でも良かったね。四郎兵衛が無理してた訳じゃなくて。」
そう笑った久作の言葉に、三郎次と左近も素直に頷く。
「そうだな。」
「うん・・・安心した。」
三人は顔を突き合わせてにっと笑い合った。
「意外な一面だったよな、滝夜叉丸とか・・・」
「なー、あの滝夜叉丸が四郎兵衛の背中を摩ったって!」
「俺なら余計眠れない。絶対グダグダ自慢話してたと思うぞ。」
「うわー、いらいらして余計眠れないな!」
「だろう!」
「あはは、拷問だよそれ!」

「何が拷問?」

いきなり後ろから掛けられた声は、四郎兵衛の・・・・

酷く冷たい声。



「「「し、四郎兵衛・・・・。」」」

お茶のお変わりを持ってきたら、滝夜叉丸先輩の悪口言ってるなんて!
「そ、そう怒るなよ・・・」
「悪かったって!」
「あはは・・・・・は。」
ぷいっとそっぽを向き、手荒にお盆を置いた。
みんな分かってない!
滝夜叉丸先輩は僕が怖がってるのみんなに気付かれないように、何も言わずにただ黙って側にいてくれたのに!
「みんな嫌いだ!」
「四郎兵衛ぇ!」
「ごめんってば!」
「しろちゃーん!」
困った顔の三人に、腕組みをして向き直る。
「反省してる?謝る気ある?」
いつになく強気の僕に、三人はぶんぶんと頷いてくれた。
ニッと笑い、僕はみんなの前にお茶を注いだ。
「長くなるから、お茶だけは注いどいてあげる。」
その意味が分からないという風に首をかしげる三人。
ちょっと優越感。
「反省しているみんなに、僕がたっぷり教えてあげる!体育委員会と滝夜叉丸先輩の良い所を!!!」
「「「ええええ!!!!」」」
「反省してるんでしょう?」
「・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・。」
「・・・・・・はい。」
「たぁ~~~~っぷり聞かせてあげるね!」
げんなりと項垂れる三人に、僕は滔々と語りつくした。


「「「もう勘弁してぇ~~~~!!!!」」」



ちゃぁんと、分かってくれたかな??


*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~

と言う事で、今日は四郎兵衛目線の体育委員会でした。
きっと四郎兵衛は最初の頃ぼろ雑巾のようになって、帰ってきてたと思います。
なので、同級生達は心配してたんですよ。
おっとりしてる四郎兵衛に、やっぱり体育委員会は無理なんじゃないかと。
一年何とか乗り切って、四郎兵衛凄い!よく頑張ったな!って思ってたら、あれ?今年も体育!?
って、三人はもしかして先輩たちに強要されたんじゃないかとか、色々と詮索してたんですよ。
で、返り討ち。(笑)
そして四郎兵衛の初恋(お母さんとか保育園の先生に抱くような)は、滝夜叉丸なのです。
なので、死ぬ気で擁護します。(夢見すぎでも良いじゃない!)
あー、体育のサンクチュアリvvv
四郎兵衛大好きだ!!!!!(>v<)

× CLOSE

カレンダー

05 2025/06 07
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30

メールフォーム

感想などありましたらこちらから。

感想などありましたらこちらから。

プロフィール

HN:
ハヂ
性別:
女性
自己紹介:
忍たま出戻り組。以前は伝半・清団でしたが今回はこへ滝にすっころぶ。その勢いで文三木や長仙・留伊・雑伊が気になり始めました。(気が多い)
毎日夕方10分間の為に、色々と頑張れる。

バーコード

カウンター

× CLOSE

Copyright © 錆浅葱 : All rights reserved

TemplateDesign by KARMA7

忍者ブログ [PR]